カプセルが乗っているスプーンとお椀

伝染病と聞くと麻疹・風しんやインフルエンザなどの病気を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、近年は日本国内において性感染症に罹る人が増えています。風邪・インフルエンザ・風しんなどは非常に感染力が強く、日常生活で病原体に感染して発病する恐れがあります。ただし、インフルエンザや風しんのように感染力が強い病気の種類は数が限られています。ほとんどの伝染病は感染力が弱いので、感染者と濃密な接触がない限りは感染することがありません。

性感染症の病原体は非常に弱いので、患者・感染者と濃密な接触をしないと伝染することがありません。それでも性行為や疑似性行為の際に、病原体が含まれた体液・血液・粘膜などに接触をすることで人から人にうつってしまいます。

厚生労働省が発表したデータによると、日本国内で患者・感染者の多い性感染症として性器クラミジア・性器ヘルペス・淋病・梅毒・尖圭コンジローマなどがあります。これら以外にも、トリコモナス・HIV(エイズ)・B型肝炎・C型肝炎なども報告されています。

性感染症の病原体を大きく分けると、寄生虫・細菌・ウイルスの3種類があります。寄生虫によって起こるのはトリコモナス症で、トリコモナス原虫と呼ばれる単細胞の寄生虫が生殖器に棲みつくことで炎症を発症します。細菌が原因で発症する病気には、クラミジア・淋病・梅毒などがあります。細菌感染症は抗生物質で治療が可能ですが、放置すると合併症を起こして不妊症や重大な後遺症が残ったり、死に至ります。

ウイルスが原因の性感染症には、性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・HIV(エイズ)・B型肝炎・C型肝炎などがあります。性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・HIV(エイズ)については、病原体に感染すると治療を受けても体内のウイルスを完全に死滅させることが困難です。治療薬を投与することで発症を抑えることが可能ですが、病原体に感染した状態が続く限り再発する恐れがあります。

性感染症は病原体ごとに感染力に違いがあり、中にはうつりやすい病気があるので注意が必要です。特に感染力が強いのが初期の梅毒で、病変部に触れるだけで簡単に病原菌に感染してしまいます。性行為の際にコンドームを着用したとしても、梅毒の感染を予防することができないので注意が必要です。他の性感染症は性行為の際にコンドームを着用すれば感染を予防することが可能ですが、クラミジアや淋菌は性器以外に咽頭部(のど)や眼球の粘膜にも感染する恐れがあります。コンドームを着用せずにオーラルセックスをすると、口を通してのどに感染してしまうので注意が必要です。

性感染症の病原体は体液や血液に多く含まれていますが、クラミジアや淋病の病原体は粘膜の細胞に感染するという特徴があります。体液に触れなくても粘膜同士が触れるだけで感染するので、コンドームを着用しないと1回の性交でもうつる恐れがあるので注意が必要です。